△index

-->Fanclub(J)
 ●オススメの1枚
70年代英国パンクの波から登場した異色のバンド、バズコックスのシングルを集めたアルバム。現在活躍しているパワーポップ・ギターポップのバンドの中にも彼らの影響を受けているバンドがいる。パワーポップ・ファンなら必携の一枚。パンクバンドだが、パワーポップの代表と言っても過言ではない。


BUZZCOCKS DISCOGRAPHY
text by denim
1.Another Music In A Different Kitchen
(1978 UA)
@Fast Cars ANo Reply BYou Tear Me Up CGet On Our Own DLove Battery ESixteen FI Don't Mind GFiction Romance HAutonomy II Need JMoving Away From The Pulsebeat
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-John Maher, B.-Steve Garvey
バスコックスは結成当初とメジャーデビュー後では、メンバーが大きく異なっている。まず結成当初は後にマガジンを結成するハワード・デヴォートがメインヴォーカルだったことだ。77年にハワード・デヴォートが脱退し、ガース・スミス(b)が加入。その後シングルを数枚発表(メジャー)した後にガース・スミスに代わってスティーブ・ガーヴィーが加入し不動のラインナップとなった。彼らの初期の名作“ボーダム”(シェリー/デヴォート共作)のリフは、このアルバムにも使われている。
鼻づまり気味のハイトーン・ヴォイスを持つピート・シェリーの歌声は、今でいうならリヴァプール出身の“スペース”のヴォーカル/トミーにそっくりで、大きな魅力のひとつであり、またなんといってもジョン・メイヤーの“もたりながらもオカズを入れまくる”ドラムにも強烈なインパクトがある。当時のライヴを観るとリズムも何もあったものではなく“グシャグシャ”だが、このドラミングに影響を受けたドラマーが何人いたことだろう。
CGet On Our OwnやDLove Battery、FI Don't Mindなどのシングル曲でもわかるように、彼らの最大の武器は“メロディー”だった。また他のパンク・バンドのファーストアルバムと比較するとかなり“キッチリ”作られていたのも特徴だ。

2.Love Bites
(1978 UA)
@Real World AEver Fallen In Love (with someone you shouldn't've?) BOperator's Manual CNostalgia DJust Lust ESixteen Again FWalking Distance GLove Is Lies HNothing Left IE.S.P. JLate For The Train
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-John Maher, B.-Steve Garvey
クールな@Real Worldで始まるセカンド。パンクのコンピレーションでもよく収録されているのがAEver Fallen In Loveで、泣きメロも入っていて良い。CNostalgia、ESixteen Againなどが印象的だが、このアルバムではインストゥルメンタル・ナンバーも格好良く、特にFWalking Distanceがイカしている。また、スティーブ・ディグルのヘナチョコなヴォーカルが印象的なGLove Is Liesもインパクトがある。とにかくヴァラエティに富んだアルバムだ。

3.a different kind of tension
(1979 UA)
@Paradise ASitting Round At Home BYou Say You Don't Love Me CYou Know You Can't Help It DMad Mad Judy ERaison D'etre FI Don't Know What To Do With My Life GMoney HHollow Inside IA Different Kind Of Tension JI Believe KRadio Nine
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-John Maher, B.-Steve Garvey
ごきげんな@Paradiseで幕をあけるサード・アルバム。このアルバムではスティーブ・ディグルの曲が増えており(ACD)サウンドの幅が広がった。しかし相変わらずヘナチョコな声だなぁ。ピート・シェリー作のBYou Say You Don't Love Meが泣きメロ入ってます。ジョン・メイヤーの“おかず”も堂に入っているし、プレジションの硬い音でメロディアスなベースラインを弾きまくるスティーブ・ガーヴィーも安定している。“さぁ、これからだ”と思っていたら、このアルバムがラスト・アルバムになってしまった。
CDではアメリカで編集された“parts 1-2-3”という6曲入りのシングルを集めたものが合体している。その中のスティーヴ・ディグル作の“Why She's A Girl From The Chain Store”という曲がなかなかバズコックスらしくていいが、ピート・シェリーの作品はちょっと違う方向へ向かっている。

4.Singles Going Steady
(1979 IRS)
@Orgasm Addict AWhat Do I Get? BI Don't Mind CLove You More DEver Fallen In Love EPromises FEverybody's Happy Nowadays GHarmony In My Head HWhat Ever Happend To? IOh Shit ! JAutonomy KNoise Annoys LJust Lust MLipstick NWhy Can't I Touch It? OSomething's Gone Wrong Again
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-John Maher, B.-Steve Garvey
タイミング的にはサードアルバムの前に出た“シングルコンピレーション”。アナログ盤では年代順にA面(@〜G)がシングルのA面、B面(H〜O)がシングルのB面となっていた。この後のシングルは“Parts 1-2-3”で聴ける。一見なんの変哲もないシングルコンピレーションのようだが、最も早くCD化されており解散後のバスコックスを再評価する意味でも重要であった。このアルバムはとても人気があり、バズコックスの再ブームはここから始まったと言っても良い。このアルバムが早くCD化されていなかったら、もしかすると再結成していないのでは…?
MLipstickはハワード・デヴォートとピート・シェリーの共作で、ハワード・デヴォートは自分のバンド“マガジン”のデビューアルバムで“Shot By Both Side”という曲にして唄っている。

5.trade test transmissions
(1993 CAROL)
@Do It AInnocent BTTT CIsolation DSmile ELast To Know FWhen Love Turns GNever Gonna Give It Up HEnergy IPalm Of Your Hand JAlive Tonight KWho'll Help Me To Forget? LUnthinkable MCrystal Night N369 OAll Over You PInside
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-Phil Baker, B.-Tony Barber
バズコックスが解散した後、ピート・シェリーは“エレポップ”に走りパンクとは違う方向へ向かったが、スティーブ・ディグルは“ひとりバズコックス(正式にはバズコックス・なんとかというバンド名だった)”として活動を続け、シングルなどを出していたがそのうち音沙汰がなくなった。ところが89年にオリジナルメンバーで再結成ツアーを行ってしまう。そのいきおいで90年には、現役時代は実現しなかった“来日ツアー”を敢行(もちろん行きました)。残念ながらドラムスはマイク・ジョイスだった記憶がある(忘れた!)。ジョン・メイヤーで見たかったなぁ…。しかしこの来日以降バズコックスは復活する。日本では“Lest We Forget”というライヴのコンピが日本盤として登場(!)するし、なんだかベスト盤みたいなものもその後出てきた記憶がある。そして噂は本当だった。とうとう通算4作目のオリジナルアルバムが完成した。
 ドラムスとベースは異なるが、本物だ。しかし、ちょっと違和感があるなぁ。なんだかバズコックスじゃないみたいだ。まあドラムが決定的に違うから仕方ないとしても、曲自体もAInnocentくらいが、いい感じだけど残りはちょっと…。まあリハビリって感じか?

6.ALL SET
(1996 RealCool)
@Totally From The Heart AWithout You BGive It To Me CYour Love DPoint Of No Return EHold Me Close FKiss 'n' Tell GWhat Am I Supposed To Do HSome Kinda Wonderful IWhat You Mean To Me JPlaying For Time KPariah LBack With You MHolding Me Down NTelevision World OEveryday Sky
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-Phil Baker, B.-Tony Barber
まだ頑張ってます。やはり前作はリハビリだったとしか言い様のないほど、通算5作目の本作はバズコックス節が復活している。@Totally From The HeartやAWithout You、BGive It To Me辺りがイイ線いってます。ただ難を言えば“全16曲”はちょっと多すぎな気がする。全体的に間延びしてまとまりに欠けるからだ。まあ、これでバズコックスは完全復活したと言えるだろう。
 この後97年に“クロノロジー”というデモ集が出たり、ライヴが出たりしているがマニア以外購入する必要はないだろう。

7.MODERN
(1999 EMI Records)
@Soul On A Rock ARendezvous BSpeed Of Life CThunder Of Hearts DWhy Compromise ? EDon't Let The Car Crash FRunaround GDoesn't Mean Anything HPhone IUnder The Sun JTurn Of The Screw KSneaky LStranger In Your Room MChoices
<Players >G/Vo.-Pete Shelley, G/Vo.-Steve Diggle, Dr.-Phil Baker, B.-Tony Barber
今度は2枚組! といってもヨーロッパ盤だけです。2枚目は“Singles Going Steady”のような感じで、再結成前のナンバーが12曲入っています。さ・ら・に、ビデオクリップとしてWhat Do I Get, Promise, Why She's A Girl From The ChainstoreがCDエクストラ形式で収録されています。どちらかというとこっちが見たかった(笑)
本編であるMODERNの方はエンジニアに、FELTなどでおなじみのJohn A. Riversが参加しています。最近流行のシンセも入っていて、全体的にバラエティに富んだ仕上がりです。ピート・シェリー作のCThunder Of Hearts、FRunaroundや IUnder The Sunとスティーヴ・ディグル作のBSpeed Of Life辺りにバズコックス節が聴いて取れます。それにしてもスティーヴはやっと声が出るようになってきました。



Copyright 1999 denim All Rights Reserved. master@denimweb.com